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ベトナムの会計関連資格 ― 採用時の評価軸と制度改正の最新動向

ベトナムの会計関連資格

はじめに

ベトナムで経理人材を採用していると、履歴書の資格欄にさまざまな略称が並んでいることがあります。CPA、VNCPA、ACCA、CMA、CIA、CFA、日商簿記、チーフアカウンタント研修修了証など、名称だけを見ても、どの資格がどの業務に関係するのかが分かりにくいというのが実情です。

特に外資企業の管理者にとって分かりにくいのが、ベトナム国内資格と国際資格の違いです。海外で「CPA」と聞くと公認会計士や監査資格を想起することが多いですが、ベトナムの社内チーフアカウンタント(Chief Accountant / Kế toán trưởng、以下CA)に就任する際に重要となる資格は、一般的にCPA Vietnamではなく、チーフアカウンタント研修修了証です。この混同は、採用要件の設計や履歴書評価の場面で繰り返し見られます。

加えて、ベトナムでは2026年7月1日以降、会計サービス業に関する一部の事業条件や登録手続が大きく見直され、従来の資格・登録を前提とした規制が緩和される方向に向かっています。これに伴い、従来の「会計士資格(Chứng chỉ kế toán viên)」についても、事実上廃止される見込みです。

本稿では、ベトナム現地法人が経理・財務・税務人材を採用する際に押さえておきたい主な会計関連資格を、国内資格と国際資格に分けて整理します。あわせて、採用時の評価軸と、2026年7月以降の制度変更が採用にどう影響するかについても、実務目線で解説します。

本稿は2026年6月時点で当社が把握している情報に基づきます。資格制度や会計サービス業の規制は変更される可能性があるため、実際の判断にあたっては、最新の法令、会計事務所、弁護士等の専門家にも確認することをおすすめします。

1. ベトナムの会計関連資格を見るときの基本軸

ベトナムの会計関連資格を見る際には、まず次の3つの軸で整理すると見通しがよくなります。

1つ目:発行主体

ベトナム財務省または関連機関が関わる国内資格と、海外の専門団体が発行する国際資格に大別されます。国内資格には、チーフアカウンタント研修修了証、監査人資格、会計士資格などがあります。国際資格には、ACCA、CPA Australia、US CPA、CMA、CFA、CIAなどがあります。

2つ目:対象業務

同じ会計関連資格でも、対象とする業務はそれぞれ異なります。記帳・決算、法定監査、税務、管理会計、内部監査、財務分析、投資管理など、どの領域をカバーする資格なのかを確認する必要があります。

例えば、CMAは管理会計寄り、CIAは内部監査寄り、CFAは投資・財務分析寄りの資格です。経理採用だからといって、すべての会計関連資格が同じように評価できるわけではありません。

3つ目:法令上必要な資格か、スキル証明か

資格には、特定の業務や役職に就くために法令上必要となるものと、知識・スキルを示すためのものがあります。

CA就任時のチーフアカウンタント研修修了証や、監査法人で法定監査業務を行う場合の監査人資格は、法令上の要件と関係します。一方、ACCA、CMA、日商簿記などは、通常の企業内経理ポジションにおいて法令上必須というより、候補者の知識や学習姿勢を示す評価材料として見られることが多いです。

採用実務では、資格名だけを見て判断するのではなく、その資格が「法令上必要なもの」なのか、「スキルの証明」なのかを分けて考える必要があります。

2. ベトナム国内の主な会計関連資格

ベトナム国内資格のうち、外資企業の管理者・採用担当者が押さえておきたいのは、次の3つです。

2-1. チーフアカウンタント研修修了証(Chứng chỉ bồi dưỡng kế toán trưởng)

チーフアカウンタント研修修了証は、ベトナムでCAに就任する際に重要となる資格です。

ベトナムでは、多くの企業で会計責任者としてCAの任命が求められます(Accounting Law 2015 / Law No. 88/2015/QH13)。CAに就任するためには、会計分野の専門性や実務経験に加え、本証明書を保有していることが要件とされています。取得には、所定の研修課程を修了し、試験に合格する必要があります。

候補者の履歴書では、Chứng chỉ bồi dưỡng kế toán trưởng、Chief Accountant Certificate、Chief Accountant Training Certificate、Certificate of Chief Accountant などと記載されていることがあります。CAポジションを採用する場合、この証明書の有無は必ず確認すべき項目です。

ここで注意したいのは、チーフアカウンタント研修修了証とCPA Vietnamは別物だという点です。CPA Vietnamは監査人資格として評価される資格ですが、ベトナムの社内CAに就任する際には、原則としてチーフアカウンタント研修修了証の確認が必要になります。
なお、CA資格取得の難易度は高くないです。そのため、採用時には具体的な実務経験を確認することが大切です。CAの採用・管理については、ベトナムのチーフアカウンタント採用・管理に失敗するとどうなる?もあわせてご参照ください。

2-2. 監査人資格(Chứng chỉ kiểm toán viên / CPA Vietnam・VNCPA)

監査人資格は、ベトナムで法定監査業務に関係する資格です。実務上、「CPA Vietnam」「VNCPA」「Vietnamese CPA」などと呼ばれます。監査法人で法定監査業務を行う監査人になるためには、本資格に加え、監査法人での登録・実務要件などが関係します。職業団体としては、ベトナム公認会計士・監査士協会(VACPA)が監査人の継続教育・専門基準の整備に関与しています。

外資企業の社内経理採用では、CPA Vietnam・VNCPAが法令上必須になることは通常ありません。ただし、Big4や監査法人出身で監査経験を持つ候補者の履歴書やメール署名に、CPA Vietnam、VNCPA、Vietnamese CPA、または Chứng chỉ kiểm toán viên と記載されていることはよくあります。

本資格を持つ候補者は、財務諸表、監査論点、内部統制、会計基準への理解が比較的深い可能性があります。そのため、Accounting Manager、Finance Manager、Internal Control、CFO候補などでは評価材料になります。

ただし、CPA Vietnam・VNCPAと記載されていても、必ずしも企業内経理の実務、税務申告、MISAやFASTなどの会計ソフト運用、税務調査対応に強いとは限りません。監査側の経験と企業内経理側の経験は、必要なスキルが異なります。採用時には、資格の有無だけでなく、以下を確認することが重要です。

● 監査法人での経験年数
● 監査対象企業の業種
● VASでの財務諸表レビュー経験
● 税務論点への関与度
● 企業内経理への転向後の実務経験
● チームマネジメント経験

CPA Vietnam・VNCPAは有力な評価材料ですが、社内経理ポジションでは「どこまでの実務経験があるのか」を必ず確認する必要があります。

2-3. 会計士資格(Chứng chỉ kế toán viên)

ベトナムには、監査人資格とは別に、従来、会計サービスに関係する「会計士資格(Chứng chỉ kế toán viên)」がありました。

会計士資格は、財務省が実施する国家試験に合格して取得する資格で、ベトナム国内では会計サービス分野の代表的な専門資格として、これまで一定の評価を受けてきました。
監査人資格と比べると、監査論や監査実務といった監査専門の科目は含まれません。一方で、ベトナムの会計・税務・関連法令の体系的知識を国家試験レベルで証明するものとして、会計サービス提供者の専門性を示す国内資格と位置づけられてきました。会計事務所のマネージャー、独立して会計サービスを提供する個人、企業内の経理責任者やCA候補者の中にも保有者が見られます。簡単に取得できる資格ではなく、実務経験を積みながら計画的に学習して取得する専門資格として見られてきました。

そのため、過去にこの資格を取得した候補者については、VAS、税法、会計法といったベトナム会計実務の基礎領域に関する体系的な知識を持っていると評価できます。監査人資格ほど監査論を深く扱わない代わりに、企業会計・税務の実務に直結する範囲を広くカバーしてきたという特徴があります。

本資格は、一部の英文資料や資格講座でAPCと説明されることがあります。ただし、実際に有資格者の履歴書、名刺やメール署名を見ると、APCという表記より、CPA、VNCPA、CPA Vietnamといった表記の方が圧倒的に多く見られます。そのため、CPAやVNCPAと記載している場合でも、それが監査人資格を指しているのか、会計士資格を指しているのか、または単なる肩書表記なのかは、確認しないと判断できません。

そして、この会計士資格の位置づけは、2026年7月の制度変更によって大きく変わる予定です。これを次の章で整理します。

3. 2026年7月以降の制度変更と会計士資格の扱い

ベトナムでは、2026年7月1日以降、会計サービス業に関する一部の事業条件や登録手続が大きく見直される方向です。本稿執筆時点で確認できる範囲では、政府決議および財務省関連部局のガイダンスにより、2026年7月1日以降、会計サービス業に関する条件・登録手続が大きく見直される方向が示されています。

特に重要なのは、従来の会計士資格(Chứng chỉ kế toán viên)について、試験・発行・取消・管理に関する規定を実施しない方向が示されている点です。

そのため、会計士資格は、「今後も新たに取得して評価する現行資格」というより、「制度上は廃止・停止される方向にある資格」と解釈されています。

ただし、既存保有者の資格や登録が直ちに無意味になるわけではありません。制度変更の過渡期には、既存資格、旧制度下の登録、新制度下の扱いが混在する可能性があります。また、既存保有者については、追加科目の試験を受けることで監査人資格を取得することができるなどの移行措置も考えられます。
採用現場では、会計士資格を「これから取得すべき現行資格」として見るより、「過去に取得された会計サービス関連資格」として扱い、候補者の実務経験とセットで評価することが重要になります。前述のとおり、本資格はベトナム会計・税務の体系的知識を国家試験レベルで証明するものとして評価されてきた経緯があるため、既存保有者については、その評価軸自体が無くなるわけでは無いと考えます。

制度変更後も変わらず重要な点

2026年7月以降の制度変更を踏まえても、すべての資格の意味が変わるわけではありません。

1. チーフアカウンタント研修修了証は、CA採用で引き続き重要です。これは会計サービス業の事業条件見直しとは別の論点です。
2. 監査人資格(CPA Vietnam・VNCPA)は、監査業務・監査経験の評価材料として引き続き重要です。会計士資格の見直しによって、監査人資格が不要になるわけではありません。
3. 会計士資格は、今後新たに取得して評価する資格というより、過去に取得された会計サービス関連資格として、取得時期と実務経験をセットで確認する対象になります。

4. ベトナムでよく見る国際資格

FDI企業の経理採用、特にミドル〜シニアレンジでは、国際資格を持つ候補者によく出会います。

4-1. ACCA(Association of Chartered Certified Accountants)

ACCAは、ベトナムで最もよく見かける国際会計資格の一つです。Big4、監査法人、外資企業、会計・税務コンサルティング会社、Finance Manager、CFO候補などの履歴書で頻繁に見ます。

ACCAを見る際に重要なのは、候補者がどの段階にいるかです。主な表記は、ACCA Member、ACCA Affiliate、ACCA Part Qualified、ACCA Student、ACCA in progressなどです。ACCA Memberは、試験合格に加え所定の実務経験要件などを満たした正会員、Affiliateは試験合格済みだが実務経験要件が未了の段階、Part Qualifiedは一部科目に合格している状態です。

履歴書に「ACCA」とだけ書かれている場合、どの段階なのかを必ず確認する必要があります。MemberとPart Qualifiedでは、知識の深さと実務評価が大きく異なります。

また、ACCAはIFRSや国際的な会計・監査・財務の知識を示す資格です。ベトナム会計基準(VAS)、ベトナム税務申告、電子インボイス、税務調査対応などの実務経験は、別途確認が必要です。

4-2. CPA Australia

CPA Australiaは、オーストラリアの公認会計士資格です。ベトナムでも一定の認知があり、ACCAほど頻繁ではないものの、外資企業や英語圏との取引が多い企業の経理・財務人材で見かけます。Finance Manager、Controller、CFO候補などで評価されやすい資格です。国際資格である点はACCAと同様で、ベトナム国内の税務・会計実務をどこまで経験しているかは別途確認が必要です。

4-3. US CPA(米国公認会計士)

US CPAは米国公認会計士資格です。発行主体は米国の州ごとのBoard of Accountancyですが、職業基準・実務支援はAICPAが中心的に担っています。ベトナムでの保有者数はACCAより少ないですが、米国本社の外資企業、US GAAPでのレポーティング、米国基準に関係する業務では評価される資格です。

4-4. CMA(Certified Management Accountant)

CMAは、米国のIMA(Institute of Management Accountants)が認定する管理会計に強い資格です。原価計算、予算管理、業績評価、意思決定支援、内部管理、財務分析などの領域をカバーします。製造業の経理マネージャー、Costing Manager、Finance Manager、Controller、FP&Aポジションで評価しやすい資格です。一方で、CMAを持っているからといって、ベトナムの税務申告や法定決算に強いとは限りません。

4-5. CFA(Chartered Financial Analyst)

CFAは、米国CFA Instituteが認定する財務分析・投資管理に関する国際資格です。経理採用というより、投資、M&A、Treasury、Corporate Finance、Financial Analyst、CFO候補などで評価されやすい資格です。通常のGeneral AccountantやCA採用では、CFAを直接の必須条件にするケースは多くありません。

4-6. CIA(Certified Internal Auditor)

CIAは、米国のIIA(Institute of Internal Auditors)が認定する内部監査に関する国際資格です。内部監査、内部統制、リスク管理、コンプライアンス部門の採用で評価されます。グローバル企業や上場企業グループで、内部監査体制を強化したい場合には有力な評価材料です。ただし、内部監査寄りの資格であり、通常の経理実務や税務申告のスキルを直接示すものではありません。

4-7. 日商簿記

日商簿記は日本商工会議所が実施する日本の会計資格ですが、ベトナムの日系企業向け経理人材の履歴書で見かけます。日本語を使う経理人材、日本での留学・就労経験がある候補者、日系企業での勤務経験がある候補者が保有していることが多いです。

日商簿記2級以上を持っている候補者は、日本式の会計用語や本社報告の理解が比較的しやすい可能性があります。日商簿記1級であれば、商業簿記・工業簿記・原価計算などの知識も一定程度期待できます。ただし、日商簿記は日本基準寄りの資格です。VASやベトナム税務の実務経験は別途確認が必要です。

5. ポジション別の評価軸

資格は、ポジションによって評価のされ方が変わります。以下は、採用時の一般的な目安です。

ポジション 法令上確認すべき資格 評価されやすい資格・経験
Junior〜General Accountant 原則なし 会計専攻、日商簿記、ACCA一部科目、VASでの記帳・申告経験
Senior Accountant 原則なし ACCA Part Qualified、会計士資格、月次・年次決算経験、税務申告経験
Chief Accountant チーフアカウンタント研修修了証 ACCA、会計士資格、監査人資格、Big4経験、税務調査・監査対応経験
Finance Manager / Controller 原則なし ACCA Member、CMA、CPA Australia、予算管理、管理会計、原価計算経験
External Auditor 監査人資格・監査実務登録 監査人資格、ACCA、監査法人での法定監査経験
Internal Auditor 原則なし CIA、ACCA、CISA、内部統制、リスク管理、コンプライアンス経験
Tax Specialist 業務内容により税務代理関連資格 VAT、CIT、PIT、FCT、税務調査対応、税務申告実務経験
CFO 原則なし(会社としてのCA任命義務は別途確認) ACCA、CPA Australia、CFA、MBA、Big4経験、資金管理、経営管理経験

6. 採用時に確認したい実務ポイント

採用検討に入る前に、自社の経理体制が新しい人材を受け入れる準備が整っているかを観察ベースで確認することも有効です。観察できる症状から自社の経理チームの状態を判定する方法は、経理チームの不調をどう見抜くかで整理しています。

6-1. 資格の正式名称を確認する

まず、候補者が書いている資格名が何を意味しているのかを確認します。「CPA」や「VNCPA」とだけ書かれている場合、それがベトナムの監査人資格なのか、US CPAなのか、CPA Australiaなのか、または会計・監査専門家としての肩書表記なのかを切り分ける必要があります。

6-2. 取得済みか、勉強中かを確認する

履歴書に「ACCA」と書かれていても、Member、Affiliate、Part Qualified、勉強中では評価が大きく変わります。候補者には、何科目に合格しているか、MemberかAffiliateか、いつ全科目合格予定か、実務経験要件は満たしているか、現在も会員資格を維持しているか、を確認するとよいです。

6-3. 資格と実務経験がつながっているかを見る

資格を持っていても、その分野の実務経験が浅いケースは珍しくありません。例えば、CMAを持っていても実際には原価計算や予算管理を担当していないケースや、ACCA Memberでも監査経験が中心で企業内の税務申告や会計ソフト運用にあまり慣れていないケースがあります。

採用時には、資格と実務経験がつながっているかを以下のような観点で確認するとよいです。

● 月次決算を自分で締めた経験があるか
● 年次財務諸表を作成した経験があるか
● VAT、CIT、PIT、FCT申告に関与したか
● 税務調査対応の経験があるか
● 監査法人とのやり取りを主担当として行ったか
● 原価計算や在庫管理に関与したか
● チームマネジメント経験があるか

資格は候補者を見る入口にはなりますが、最終的には実務経験の中身を見る必要があります。

6-4. VASと税務実務の経験を確認する

国際資格を持つ候補者でも、ベトナム会計基準やベトナム税務に強いとは限りません。ベトナム現地法人の経理採用では、VAS、税務申告、電子インボイス、税務調査、社会保険、給与計算、会計ソフト運用など、現地実務への対応力が非常に重要です。

特にCAやSenior Accountantでは、VASベースの月次・年次決算、税務申告書の作成またはレビュー、VAT還付、税務調査対応、電子インボイス管理、MISA・FAST・Bravo・SAP・Oracleなどの会計システム経験、監査法人・税務当局とのコミュニケーションを確認するとよいです。

6-5. Chief Accountant採用ではCA証明書を必ず確認する

CAポジションでは、チーフアカウンタント研修修了証の有無を必ず確認してください。候補者がCPA Vietnam、VNCPA、ACCA、CPA Australiaなどを持っていても、本証明書を持っていない場合があります。

実務上、入社後に取得する前提で採用するケースもありますが、その場合は、いつまでに取得するのか、会社としてどのように任命するのかを事前に整理しておく必要があります。

7. まとめ

ベトナムの会計関連資格は、国内資格と国際資格、法令上必要な資格とスキル証明としての資格が混在しています。採用時に特に混同しやすいのは、(1)チーフアカウンタント研修修了証、(2)監査人資格、(3)会計士資格、の3つです。

CAに必要なのは、原則としてチーフアカウンタント研修修了証です。CPA Vietnamは監査人資格として評価される資格であり、企業内のCAポジションに就くための資格とは別物です。

一方、ACCA、CPA Australia、US CPA、CMA、CFA、CIA、日商簿記などの国際資格・海外資格は、候補者の知識や学習姿勢を示す重要な材料になります。ただし、それだけで採用判断をするのは危険です。

経理人材の採用では、資格名だけで候補者を高く評価しすぎるとミスマッチが起きます。資格はあくまで入口です。最終的には、実務経験、ベトナム会計基準・税務への理解、自社のポジションで求める業務との対応関係を確認することが重要です。

FAQ

Q1. チーフアカウンタントになるには、CPA Vietnamが必要ですか?

A. 必要ではありません。ベトナムでCAに就任する際に重要となるのは、原則としてチーフアカウンタント研修修了証です。これはCPA Vietnamとは別の資格です。

CPA Vietnamは、主に監査業務に関係する監査人資格として見られます。CA採用では、CPA Vietnamの有無より、まずチーフアカウンタント研修修了証を持っているかを確認する必要があります。

Q2. ACCA Member、Affiliate、Part Qualifiedはどう違いますか?

A. ACCA Memberは、試験合格に加え所定の実務経験要件などを満たした正会員です。ACCA Affiliateは、試験には合格しているものの、実務経験要件などがまだ完了していない段階です。Part Qualifiedは、一部科目に合格している状態です。

履歴書に「ACCA」とだけ書かれている場合は、どの段階なのかを必ず確認してください。MemberとPart Qualifiedでは、採用上の評価が大きく変わります。

Q3. 候補者がCPAやVNCPAと書いている場合、何を確認すべきですか?

A. まずは、それが何を指しているのかを確認する必要があります。ベトナムの監査人資格を指している場合もあれば、会計・監査専門家としての肩書に近い使い方をしている場合もあります。

確認すべきなのは、財務省発行のどの証明書を持っているのか、監査実務登録まであるのか、会計士資格や過去の会計サービス関連登録を指しているのか、という点です。会計士資格は一部資料でAPCと説明されることがありますが、APCという略称自体を前提に評価するより、正式名称と実務経験を確認する方が実務的です。

Q4. 2026年7月以降、会計士資格はどうなりますか?

A. 2026年7月1日以降、会計士資格(Chứng chỉ kế toán viên)については、試験・発行・取消・管理に関する規定を実施しない方向が示されています。そのため、制度上は廃止・停止される資格として理解するのが自然です。

ただし、既存保有者の資格や過去の登録が直ちに無意味になるという意味ではありません。経過措置や監査人資格試験への移行的な取り扱いが想定されるため、採用時には「保有しているか」だけでなく、「いつ取得したか」「どの制度下で取得したか」「実際にどのような会計・税務サービス経験があるか」を確認する必要があります。

会計士資格は、ベトナム会計基準、税法、会計法、企業財務などを国家試験レベルでカバーしてきた資格で、これまで会計サービス分野で一定の評価を受けてきた経緯があります。既存保有者の評価軸自体は引き続き有効と考えられます。

Q5. 国際資格を持っている候補者は、ベトナム実務にも強いと考えてよいですか?

A. 必ずしもそうとは限りません。ACCA、CPA Australia、US CPA、CMAなどは、会計・財務の知識を示す有力な資格です。ただし、ベトナム会計基準、ベトナム税務、電子インボイス、税務調査、社会保険、給与計算、ローカル会計ソフトの実務経験は、別途確認する必要があります。

国際資格は高く評価できますが、ベトナム現地法人の経理採用では、現地実務への対応力とセットで判断することが重要です。

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この記事の著者

Accounting Works 編集部

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