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ベトナムで日本語対応できる経理人材の採用が難しい理由と対策

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はじめに

ベトナムで日本語対応できる経理人材の採用に悩む日系企業は少なくありません。実際、ベトナムで「日本語」と「経理実務」の両方に対応できる人材は限られており、採用活動を始めても想像以上に候補者が見つからないケースが多く見られます。本記事では、ベトナムで日本語対応できる経理人材の採用が難しい理由を整理したうえで、現実的な対策を解説します。

1. なぜベトナムでは日本語と経理実務を両立する人材が少ないのか

経理は単に会話ができれば良いのではなく、業務上例えば以下が必要になります。

  • 会計・税務の専門用語の理解
  • 契約書・請求書・社内規程の読解
  • 監査・税務調査など重要な場面での正確な説明
  • 日本本社向けの報告(背景説明、判断理由、リスク整理)

つまり、日本語ができるだけでは足りず、「会計・税務の論点を理解したうえで、日本語で整理して伝える」能力が求められます。この掛け算が、採用難易度を一気に上げます。

日本語×経理実務の両方を備えている人が少ないのは、個人の努力不足というより、そもそも教育とキャリアの導線が分かれていることが大きいと考えます。

ベトナムで経理関連の仕事をする人の多くは、大学等で会計・監査系の学部を卒業していることが一般的です。学校では専門科目が中心で、外国語が求められる場合でも多くは英語が優先されやすいです。会計・税務の専門科目をみっちり学び、インターン、就職活動に加えて英語対応まで必要になるため、会計系の学生が 「実務で戦力になるレベルの日本語」 まで伸ばし切るのは、時間的にも優先順位的にも難しくなりがちです。

一方、新卒で日本語に強い人の多くはベトナムの大学で日本語学部を卒業しているか、または日本に留学していることが多いです。ベトナムの日本語学部の場合は言語や日本文化の学習中心、日本の学校卒の場合学習内容は多種多様ですが、いずれの場合もベトナム基準に沿った会計・税務を学ぶ機会は滅多にないです。

この教育上の分離が、そのままキャリア初期の分岐につながります。

  • 会計が強い人は、事業会社の経理や会計事務所・監査法人で会計・税務の実務経験を積むことからキャリアが始まりやすい。
  • 日本語が強い人は、日系企業で通訳・営業アシスタント・総務・ITコミューターなどからキャリアが始まりやすい。

結果として、「日本語×経理」は自然に増えにくく、スーパーレアになりやすいという構造になっていると思います。一方で、「英語×経理」は、受験で英語科目があることや、大学でも英語を使う機会があるため、母数が多く採用もしやすいです。

なお、近年中国・台湾企業のベトナム進出の増加を背景として、キャリアアップのための第3言語として中国語を学びたい人が増加傾向となっています。そうした背景も踏まえますと、第3言語に日本語を選ぶ人が増えていくことも考えにくいと言えます。

2. ベトナムの日系企業が日本語対応できる経理人材を求める背景

日系企業側のニーズは、だいたい次のどれかに集約されます。

  • 日本人駐在員または日本本社が、日本語対応を強く望む
  • 日本本社への報告が日本語で求められる
  • 日本語通訳を挟みたくない

ただしここで注意したいのは、上述の通り日本語も経理実務も全部できる人を前提にすると、採用が止まりやすいという点です。

3. ベトナムで経理に日本語対応を求める場合の対策

こうした背景を踏まえて、どのような対策が取れるかを紹介します。他にも案はありますが、より現実的で実際に取られていることも多い事例に絞ります。

対策案1:それでも「日本語×経理」人材を採用する

この場合、重要な注意点として、実力の見極めが非常に大切です。前述の通り日本語と会計両方を身に着けられる機会はあまり無く、どちらかが中途半端になっていることが多い印象のため、日本語力と実務対応力のチェックが一層大切と考えます。ベトナムのチーフアカウンタント採用・管理に失敗するとどうなる?の記事も参考になれば幸いです。

また、日本語×経理は希少なので、採用競争が起きやすいです。そのため、いかに候補者から選んでもらえるかを検討すべきです。たとえば、以下の通りです。

  • 給与レンジを相場より高めに設定する
  • 日本語手当、資格手当を厚くする
  • 会計関連や語学関連のスクール代を補助する
  • 業務とキャリアパスの明確化
  • 採用プロセスの短縮化

さらに、採用できたとしても、希少人材なので、引く手あまたになりやすい点にも注意が必要です。日本語ができるからといって、本人が希望していない業務(例:取引先との通訳など)もお願いしたりしてしまうと、離職に繋がりやすいと考えます。

対策案2:経理は日本語不可の人材にし、日本語は通訳・翻訳で分離する

採用難を構造的に減らす方法は、役割を分けることです。

  • 経理:英語またはベトナム語で回せる人材(専門性優先)
  • 日本語:通訳・翻訳者

この形のメリットは明確です。

  • 経理採用の母数が増える
  • 経理としての専門性を優先できる

また、ベトナムでは通訳者が総務・庶務業務を兼務するケースも多く、実務運用に乗せやすいのも現実的です。あくまで私が見てきた範囲にはなりますが、結果的にこちらの方が上手くいっていることが多い印象です。

おわりに

ベトナム国内で「日本語× 経理」の人材を探すのが難しいのは構造の問題といえます。ベトナム人のJLPT受験者数は統計上増えているようですが、経理実務を掛け合わせると、採用市場では貴重なのが実態です。「日本語×経理」人材を検討する際には、自社と採用市場の状況双方をよく理解したうえで、進めていくことを推奨します。本稿もその一助になれば幸いです。

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この記事の著者

Accounting Works 編集部

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